総入れ歯が痛く、また全身にも痛みが出ていました
この方は、病院の事務を長年されている68才の女性の方で、数年前、ご主人の歯の治療をさせて頂いた関係で当院に来られました。
痛みの原因は、一つではありません
入れ歯のお悩みで最も多いのは「今の入れ歯が痛くて噛めない」
というお悩みではないでしょうか。
「痛み」の原因は人それぞれです。
入れ歯の形が合わない、噛みあわせが悪い、食いしばりや悪い姿勢、骨格のゆがみ、全身の病気、精神的なものなどが原因の方もいらっしゃいます。
「総入れ歯を何度調整しても、すぐ外れてしまい、痛くてよく噛めない」
「総入れ歯にしてから、肩コリ、腰の痛み、それから膝の痛みなどが出てきた」
という方はただ単に入れ歯を治すだけの治療では、改善しない可能性があります。
当院に、こんな患者さまが来院されました。
平成16年に他院にて総入れ歯にしてからというもの、何度調整しても、背骨や膝の痛みを感じ、左の奥歯でものが噛めなくなったという68歳の女性の方です。
詳しくお話を聞くと色々なことが分かりました。
【約30年前】
自宅近くの歯医者で、下のあごに金属床の部分入れ歯を入れてから背中が凝り始め、めまいも時々起こるようになる。

【10年前】
ある寒い冬の朝、ストーブを運ぼうとして、持ち上げた時、背中に激痛が走り、病院で骨粗鬆症による圧迫骨折と診断され、それ以来背中が丸くなる。


【平成16年】
上下総入れ歯(金属床を修理したもの)になるが、背中の凝りは治らず、その頃から物を食べると痛くて左側で噛めなくなる。


【平成17年】
背中の凝りだけでなく、肩凝りもだんだんひどくなり、左膝まで痛くなり始める。

【平成18年】
右膝も痛くなり、12月当院に来院。
更に、本人が気づいていない原因を探る為に、130項目ある質問表へ記入して頂きました。
「全身に関する質問表」で本当の原因が見つかりました
総入れ歯にしてからのお話は伺えたのですが、全身的な事に関しては、本人も昔の事で忘れていたりする事もあります。
また更に詳細に治療前に知っておきたい事がある為、「全身に関する質問表」に記載してもらいました。
【全身に関する130問の質問事項】
全身の症状、状態に関する130問の質問事項が書かれています。
その方が過去の事で忘れていたり、意識するに足らない些細な事でも診断をするのに大きく役立つ事があります。その為の質問表です。
【アレルギーの項目】
この患者さまには金属アレルギーがある事がわかりました。
その為、総入れ歯の材料は、金属床でなく完全重合されてモノマーの溶出がなく、過敏症・アレルギー症が非常に出にくいポリカーボネート樹脂を使って製作する事にしました。
【外傷の項目】
約40年位前バスの事故に合い、頭蓋骨骨折し、その時から「頭痛」「めまい」を感じているという事がわかりました。また、その頃から「くいしばり」がおきている事がわかりました。
バスの事故で頭蓋骨骨折した為に首の骨(=頚椎)が外傷を受け、くいしばりが始まり、背骨全体(胸椎、腰椎)も同じく外傷によりゆがみ、圧迫骨折や膝痛の間接的な要因になった可能性があります。
次に、全身の影響が総入れ歯を作る上で重要なあごの骨、あごの関節にどのように出ているか、また、あごの骨の中に異物や歯の根が残っていないか調べる為、レントゲン撮影を行いました。
デジタルX線診断にて、より正確な診断を行いました
従来のレントゲンに比べ被曝量が1/8に軽減され、しかも鮮明に写るデジタルレントゲンにて撮影を行いました。
お口全体のパノラマ写真を撮影

レントゲンの結果、以下の3つのことがわかりました。
1:あごの骨の中に歯の根、異物が残っていない。
⇒このまま総入れ歯を作る事が可能です。
2:あごの骨が太くてしっかりしている。
⇒安定した総入れ歯を作りやすい環境です。
3:左の下のあごの発達した皮質骨(骨の表面を構成する硬い部分⇒白い太い線)が前方に長く延びています。
⇒「全身に関する質問表」により浮かび出てきた、本人が忘れていた約40年位前の
(まだ自分の歯があるうちの)バスの事故での影響と考えられます。
頭蓋骨骨折の衝撃により、首の骨(頚椎)、背骨全体(胸椎、腰椎)が外傷を受け、特に左側が強く影響を受けた可能性があります。それが原因でくいしばりが起こり、その結果、その場所に力が加わり、皮質骨が肥厚したものと思われます。
顎関節撮影(口を閉じた時、開けた時の顎の関節の撮影)

レントゲンの結果、以下の2つのことがわかりました。
1:関節頭の前上方が凹んで平らになっている。(上写真 B-1・B-2)
※「外傷」と「くいしばり」が原因と思われます。

2:左の関節窩の方が深い凹みになっている。(上写真 A-1)
※事故の外傷により頚椎、胸椎、腰椎が歪み、くいしばりも起こり、
左側の関節頭が周囲の筋肉の緊張により後上方に引っ張られ負荷がかかり、
関節窩が深い凹みになったと思われます。

以上、「全身に関する質問表」と「デジタルX線診断」により、今までの経緯とあごを含めた全身状態がほぼわかってまいりました。
次に、総入れ歯とあごを含めた全身の関係を、筋肉反射テストを使い調べていきます。

筋肉反射テストから、新たにわかった内容
筋肉反射テストによって新たに以下の2項目のことがわかりました。
【1】まず下のあごが左にずれていて、噛み合わせの高さが低い事がわかりました。

約40年位前のバスの事故での頭蓋骨骨折により、首の骨(頚椎)、背骨全体(胸椎、腰椎)が歪み、頭痛、めまい、くいしばりが起こり、10年後にはその影響をかなり受け、左下の前歯を残し下の顎はすべての歯を喪失しています。
その後、金属床の部分入れ歯を作ってもらったようですが、事故による骨格のゆがみにより、左の下のあごが後上方に引っ張られた事への改善や、全身の骨格のゆがみを取らずに型取り(印象)、噛み合わせ(咬合)を決定した為、その時の噛み合わせが低く、噛む位置も、正常な下あごの位置より左にずれて噛んだ位置になり、その状態で入れ歯が出来上がってしまったように思われます。
その為に、30年前に金属床の部分入れ歯を入れてから背中が凝り始めたのでしょう。
【2】次に、下の写真に示しましたが、右下奥歯の内側斜線部と、左下奥歯の内側の縁(太い線)が筋肉反射テストで問題がある場所であることがわかりました。


圧迫骨折し左にゆがんだ骨格(胸椎)が、更に左にゆがまないように、下のあごが更に左にずれないように、無意識に舌を反対側の右下奥歯の内側に押しつけていた可能性があります。(くいしばりの原因になっていた可能性が大きい。)
圧迫骨折の主な原因は骨粗鬆症によるものですが、もし、入れ歯を作る時、骨格矯正をして全身の骨格のゆがみを取り、筋肉反射テストにより、噛み合わせの位置・高さを正確に割り出してから入れ歯を作っていれば、被害も最小限で済んだかもしれません。
その証拠に、先程説明した筋肉反射テストで発見された問題の箇所の古い入れ歯の調整(削合)や、骨格矯正を行う事により、左側でもだいぶ噛めるようになりました。
さらに、背中の凝り、膝の痛みも軽減してきた為、前の病院で作ってもらった総入れ歯の調整を終了し、新しい入れ歯の製作に取りかかる事にいたしました。
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無料相談と精密診査で、ベストな治療方法をご提案します
当院は総入れ歯専門医院ですが、残っている歯が少なくなり、抜いてそれを総入れ歯にするかどうか悩まれている患者さまが、多く来られます。
総入れ歯にするかどうかは、すべての治療法のメリット・デメリットを詳しくお話したうえで、最終的には、患者さまご自身にご決定いただいています。
当院のモットーは、患者さまの全身にとって、最も負担のかからない治療法を行うことですから、迷われたときは専門的な視点から、一番リスクの少ない方法をご提案しています。
無料相談では、患者さまのお悩みやご要望をじっくり伺っています。
診査結果と合わせて、歯を抜くのか、残すのか、インプラントがいいのか、または今の総入れ歯をつくり変えた方がいいのかなど、患者さまと一緒に治療法を決定していきたいと考えております。




